2017年4月

石井光太 「蛍の森」 新潮文庫 2016年発行

 物語は、2012年、四国の山村で起きた老人連続失踪事件に端を発し、読み進めるうち、60年前に闇に葬られたハンセン病患者への差別と偏見に満ちた悲しい歴史が明らかになってくる。あまりの悲惨さ、残酷さに思わず目を背けたくなる叙述もある。ミステリー仕立てで、最後は、事件の謎が解け、辛くも安堵する事実が待っている。「生とは何か?」を改めて考えさせられる一冊である。

(リハビリテーション学部 リハビリテーション学科長 山田和政)