2018年12月

グレアム・スウィフト (訳/真野泰) 「マザリング・サンデー」 新潮社 2018年発行

 ~生涯忘れることのない一日。~

 最近読んだ本の中から一冊。
 現代イギリスを代表する作家、グレハム・スウィフトの最新作『マザリング・サンデー』は、女流作家が過去を回想しつつ語る物語である。奉公人に年に一度許された里帰りの日(マザリング サンデー)、親のいない主人公が経験した喜びとそれに続く深い悲しみ。
 明るい春の陽ざしとバークシャーの丘を吹き抜ける心地よい風のそよぎの中で展開する物語は、階級社会イギリスのやるせなさとともに、しみじみとした味わいを残す作品となっている。 

(経営学部 雨宮康樹)