作業療法の研究と学会発表

こんにちは。作業療法学専攻の飯塚照史です。
今回は作業療法の研究についてお伝えします。

色々なことに、みなさんが"素朴な疑問"を感じるなら、「研究」の素質があります。
例えば、"なぜ空に雲が浮かんでいるんだろう?"
"なぜ、褒められるとやる気が出るんだろう?"
"なぜ走るのが速くならないんだろう?"など、
そんな漠然とした疑問から研究は始まります。

これらを"本気で調べたい!"と思えば「研究」の開始です。
そのためには、
まず、"今、分かっていること"を過去の研究成果から調べなければなりません。
調べることで"分かっていないこと"もたくさんあることが分かってきます。
これが、「研究」の種(たね)になります。

次に、疑問を解決する方法を考え、「研究」のスタート地点に立ちます。
そして、色々なことを試して、自分の分からないことが分かったか?について深く考えます。
問題が解決できたら、その成果をみんなに伝えるために論文を書いたり、
発表したりして、多くの人の意見を求めます。
報告が参考になれば、次の世代の「研究」者の糧(かて)になります。

さて、作業療法で行われている研究にはどのようなものがあると思いますか?
作業療法の"作業"とは、人間が行うすべての事柄を指しますので、
とてつもなく広い分野で行われています。
"作業"を行っているときの、筋肉(きんにく)や神経(しんけい)、
脳や心臓の働きを調べたり、地域の方が健康になるための方法を調べたり、
対象者の方の気持ちを活き活きとするためのコミュニケーション方法を調べたり・・・、
これまでのブログの内容を読めば、
作業療法には多くの分野と関心事があることが分かると思います。

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先日、私は山口県下関市で行われた「中部日本手外科研究会」で発表してきました。
私の発表した事柄は、手をけがした人の「リハビテーションはいつまで行えば良いのか?」です。
素朴な疑問"だと思いませんか?
"素朴な疑問"を感じ、過去の研究成果から"分かっている事"を探し出して「研究」の種を作り、
私の研究が次の世代の方の"糧"になるようにと研究を行い発表しました。
その結果、整形外科医と共にリハビリテーションについて熱く語り、多くの議論ができました。

教員だけでなく、病院や施設で働く作業療法士も、
そしてみなさんも"素朴な疑問"を持っているはずです。
「研究」は大変ですが、決して難しいものでもありません。
あきらめずに積み重ねていくことで、みんなが幸せになれる、
そう信じて星城大学作業療法学専攻の教員は教育と研究に取り組んでいます。

星城大学では、さらに高度な研究を行うために大学院を備え、
卒業後も研究に関する支援体制が整っています。
星城大学は、「先駆的役割を担える作業療法士の育成」にも力を注いでいます。

最近うれしかかったこと

こんにちは。リハビリテーション専門医の安倍基幸です。

私は現在、大学では1年生から4年生まで担当科目を持っており、
さらに大学院生(3年履修が多い)の1年生から3年生まで学生を指導しています。
合計で7学年の学生を教育・指導していることになります。
7学年ともなると、それなりに苦労も多いのも事実ですが、
嬉しいこともあります。
最近、嬉しかったことは、
大学院生の早川君が、医師がメインの昨年秋の学会で、
学会奨励賞を受賞したことです。
大変栄誉なことで指導者冥利に尽きます。
この記事は大学HP上にも紹介されておりますので是非ご覧ください。

さて個人的なことですが、私の出身地は宮城県東松島市です。
3.11の津波により大きな被害を受けた町です。
復興しつつあるとはいえ、いまだに大きな爪痕を残しております。
昨年秋に所用で帰りました際に、
隣の石巻市の日和山から撮った北上川河口の写真を紹介します。
海岸近辺はほとんど手つかずの状態がわかると思います。
東北地方へ旅行の際には、
是非足を伸ばし自分の目で3.11の災害の跡と、復興を見てください。
自然の時としての凶暴さと、
それに対処する人間の叡智を感じることができるかもしれません。

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片麻痺患者さんの調理体験及び学年間交流

こんにちは、作業療法学専攻の坂井一也です。

2013年12月6日、25日、2014年1月8日のブログでも紹介されていますが、
星城大学リハビリテーション学部には「アドバイザーミーティング制度」があります。
「上級生と下級生」「学生と教員」がそれぞれ親睦を深め、お互いを理解し合い、
講義、試験、実習、学生生活などを相談し合う場です。

shashin1.jpgshashin2.jpg今回は、2年生が1年生に自助具を活用した片麻痺患者さんへの調理指導の方法を伝授しました。
自助具の使用体験も重要ですが、それ以上に
これらの活動を通して学年間の情報交換が有意義だったみたいです。
1年生は2年生に定期試験の情報を、
2年生は3年生にOSCE(客観的臨床能力試験)の情報を聞いたり、
勉強の仕方、アルバイトのことなどを聞いたりしていました。
また、教員(私)にも試験対策や臨床実習のことを聞いてきました。

shashin3.jpg最後には、調理したカレーを皆で食べながら、有意義な春休みを迎えるために、
後期定期試験を頑張ることを確認して活動を終えました。

shashin4.jpgこのような制度(活動)を通じて、星城大学は
チーム医療の一員として活躍できる作業療法士を養成しています。

人体はすごい!

こんにちは。解剖学を担当している久保金弥です。

17世紀に顕微鏡が発明されたことにより、
人間の目では確認できない
ミクロの世界が次々に解き明かされてきました。
1665年イギリスのフックという科学者がコルクを観察して
たくさんの小さな部屋のようなものがあるのを見つけ、
それを細胞(cell)と名付けました。
全ての生物は細胞からできています。
生物のからだが大きくなるのは細胞が大きくなるのではなく
細胞の数が増加するからです。

それでは、質問です。
「人間はいったいいくつの細胞からできていると思われますか?」

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正解:約60兆個

人間の体は約200~300種類、
約60兆個の細胞からできあがっているといわれています。
細胞の大きさは多くの細胞では10~30μmですが、
最も大きいものが卵子で約200μm、
最も小さいものは精子で約2.5μmといわれています。
特別なものとして、
人のお尻から太ももの裏に通っている坐骨神経は人体の中で最も太く、
坐骨神経細胞は約1mの長さにも達します。
これらの細胞のうち、早いものは数日で、
遅いものでも約1年で新しい細胞と入れ替わるといわれています。
しかし、脳などにある神経細胞は
入れ替わることがなく老化によって減少していきます。

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本学1学年の解剖学実習では顕微鏡を用いて、
骨、脊髄、脳などをミクロの世界で観察して、
その構造を学びます。
解剖学実習では人体の構造を
マクロ(人間の目で確認できる世界)、
ミクロ(人間の目では確認できない世界)の両面で理解していきます。

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認知症の人と作業療法

こんにちは。作業療法学専攻の竹田徳則です。

私は老年期障害と介護予防に関連する作業療法を専門としています。
今回は、老年期障害の認知症と作業療法について説明します。

日本の認知症の人は、
2012年には約305万人、2020年には410万人に増加すると推計されています。
これよりも多いという推計もあります。

認知症では、時間経過とともに多くの人で記憶の低下が進みます。
記憶を内容で分類すると、
生まれてから現在に至るまでに起こった出来事に関するエピソード記憶、
野菜や動物の名前など物事の共通認識としての意味記憶、
体で覚えている技能や技術の手続き記憶に大別されます。

3つのうちで、認知症で最も低下の遅いものが手続き記憶です。
手続き記憶の一例として、
平成25年12月24日の作業療法学専攻のブログに掲載した「わらじ」作りがあります。

写真は認知症の人が作られた「わらじ」です。
男性の作者は「うまく作れなくなった」と話されました。
それに対してあなたならどのような言葉をかけますか。
私は「世界に二つとない芸術作品ですね」とさりげなく対応しました。

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認知症の人の作業療法では、
「できなくなった」ことを「できるようにする」のが主ではなく、
今「できる」ことや「行える」作業活動を用いるのが特徴です。
これにより認知症の人に自分にも「できる」という実感を持ってもらいます。

作業療法士は、
作業活動の場を共有し、その場の雰囲気やその人の感情を共有します。
また、活動中にその種目にまつわる思い出を話し始める人の話に耳を傾け、
認知症の人の喜びやその人が自己存在感を感じる機会を提供します。

このように認知症になっても、
豊かな生活を送ることができるように支援するのが、
作業療法士の役割です。
高齢社会の日本では、
多くの高齢者施設で作業療法士の活躍が期待されています。

『クリスマスフェスティバル』のボランティア

生理学担当の渡邊和子です。
リハビリテーション学部にはアドバイザーミーティングという
活動があります。
この活動は、1〜4年生の数名ずつがグループを組み、
皆で集まってちょっとした活動を行う中で、
学生間(同級生-同級生、先輩-後輩)や
学生と教員間での相談・援助などの相互支援を行うものです。
私はOT専攻学生グループの一員です。
私たちのグループは、
12月8日に名古屋市障害者スポーツセンターで行われた
『クリスマスフェスティバル』のボランティアに出かけました。
今年の担当はクリスマスツリーの飾り付けです(写真)。

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午後からは屋台,受け付け、折り紙ブース、餅つきなどのお手伝いを担当しました。
様々な障がいのある方々がとても良い笑顔で楽しい一時を過ごしておられました。
学生達は新たな出会いで世界がちょっと拡がったようでした。

お年寄りの寝たきりを防ぐ! ~予防の作業療法~

みなさん、こんにちは。作業療法学専攻の藤田高史です。

今回のブログは、本大学のアドバイザーミィーテイング活動
のメンバーとともに行っている予防の作業療法を紹介します。

私が担当している作業療法学専攻アドバイザー第2班では、
地域貢献活動として年に4~6回程度、
A市にある養護老人ホームでレクリェーションや体操、
そして身体・認知機能測定を行っています。

こうした活動内容は、
要介護者が増えることを予防する活動に位置付けられ、
作業療法の一つです。
写真は、レクリェーションと認知検査を行っている場面です。

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臨床実習を経験した4年生が下級生に手本を見せて、
それを下級生が実際に共同で実践しています。
4年生になると慣れたもので、経験の違いを垣間見せてくれます。
また、3年生は入所者の方に上手に話しかけることができるので、
雰囲気を盛り上げるのに一役買ってくれます。

そんな上級生の姿をみて1年生や2年生が、
まずは「おもしろい」「役に立っている」「こんなことを行うのか」
「先輩かっこいい!意外性抜群!?」「入所者の方が楽しそう」など、
予防活動の作業療法から
何かしら感じてもらえればと思います。

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今の3年生や4年生も1年生だったころには、
このような場に入ると緊張していたことを思い出します。
彼らの変化を見ていると、
人は成長するものであり、経験って大事だなとつくづく感じます。

最初は緊張するかも知れませんが、
学外で予防の作業療法を経験することも良いものですよ。

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わらじ作りで心いきいき!:作業療法で用いる手工芸とその効果

こんにちは。作業療法学専攻の木村大介です。

皆さんは作業療法という言葉を聞くと、
何か"作業をする"と思っていませんか。
皆さんの想像通り、
作業療法には治療の一手段として
手工芸を用いた作業活動があり、
重要な治療手段なのです。

高齢者を対象とした施設では、
利用者の機能の維持と向上のために、
様々な作業活動を行います。

特に高齢女性に導入しやすい作業活動が手工芸です。
一般に、高齢者には、新しい作業活動に取り組んでいただくよりも、
これまでの人生経験の中で親しみや馴染みのある種目に取り組んでいただく方が、
作業活動の導入がスムーズになります。

その中でも、
「わらじ作り」は高齢者にとって大変馴染みのある作業のようです。
多くの高齢者が実際に作って使ったことがあったり、
親が作っているところを見たりした経験があるようです。
今回は、手工芸としての「わらじ作り」を紹介しましょう。

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一方、高齢者に「わらじ作り」を行っていただくためには、
我々作業療法士にも、「わらじ作り」を実践できる知識と技術が必要です。
そのため、星城大学の学生は「基礎作業学実習」という科目で、
実際に「わらじ作り」を体験します。

授業では、講師として地域の高齢者が直接、
わらじの作り方を学生に伝えます。
学生達にとっては、
年齢も人生経験も異なる講師と
上手なコミュニケーションをとることもテーマのひとつです。

実際に授業で高齢者の講師と触れ合うと、
学生達は実に素直に話を聞きますし、
講師の方々も上手に学生達の興味を引き出してくださいます。

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この授業を通じて、
学生達は「わらじ作り」という作業活動の効果として、
初対面の緊張や不安を緩和し、楽しく時間を共有できることを体験します。

普段教員が行う授業とは違った雰囲気の中で、
和気あいあいと進行するのがこの「わらじ作り」の特徴で、
「基礎作業学実習」の中でも人気の作業活動です。

作業療法士を志す学生達にとっては、
コミュニケーションを図りながら、
様々な経験を積むことが貴重な財産になります。

作業療法学専攻 卒業研究発表会を終えました!

こんにちは。作業療法学専攻の大浦智子です。

作業療法学専攻では、4年生後期に卒業研究発表会を行います。
今年の発表会は、ホームページで紹介の通り11月30日に開催されました。

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私が担当したゼミ生は、
訪問リハビリテーションや、
作業療法における「作業」の特性、
作業療法の教育に関することなど、
5名が各自の研究に取り組みました。

作業療法学専攻では、
3年生の後期から、
学生の興味や関心のある研究テーマのゼミにわかれて、
指導教員のもとで研究の計画をたてます。
そして、実際に研究を実施し、卒業論文を執筆します。
4年生は長期の臨床実習等もあり多忙ですが、
時間を有効に活用して取り組んでいます。

データベースを用いた文献の検索をはじめ、
研究の計画、活発な議論を通じて、ゼミ生同士で切磋琢磨し、
ときには助け合いながら実施した研究の集大成が卒業研究論文です。
論文の執筆や発表準備などを経て、
ゼミ生同士の結束がより強くなりました。

卒業後、この経験を活かして、
患者さんに効果的な支援ができる作業療法士として
活躍することを願っています。

アドバイザーミーティングでの症例報告会を行いました!

こんにちは、作業療法学専攻の冨山直輝です。

星城大学リハビリテーション学部には、
アドバイザーミーティング制度というものがあります。
これは、1年生から4年生まで各学年5名程度で1つのグループをつくり、
座禅に行ったり、陶芸教室に行ったり、
車いす体験を行ったりとグループで独自の活動を行います。
様々な活動を通して同学年のみではなく他学年との交流、
教員との交流を深めるものです。

私が担当する作業療法学専攻6班では、
先日、症例報告会を行いました。
これは、4年生が臨床実習で経験したことを後輩に伝え、
対象者にとって必要とされる作業療法士になるために、
学内で学んでおくべきポイントなどを同時に伝えることを目的としています。

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症例報告会の中で、
1年生は学ばなければいけない事の多さに驚き、
2年生は自分が学んできたことが定着していない事に気づき、
3年生はいよいよ間近に迫った臨床実習に不安と期待を入りまぜながら、
真剣に4年生の発表を聞いていました。

発表する4年生も、
この4年間を振り返り、反省したり、後悔したり・・・(笑)。 
作業療法は体の機能や動作を改善することだけではなく、
対象者を対象者の思い通りの生活に導くことが重要です。

知識や技術だけでなく、作業療法士自身の人間性も求められます。
後輩に熱心に説明している4年生を目の当たりにして、
4年生自身も成長していることを感じました。
4年生の1名が発した言葉
「病気や障害を診るのではなく、
その人を診ていくことの重要性を感じた」。
まさに作業療法の心髄だと思います。
すべての学生が、この4年生と同じ思いで対象者と接し、
対象者のことを真剣に考えていけるように、
我々教員も学生と一緒になって日々成長していきたいと思います。

星城大学作業療法学専攻では、
アドバイザーミーティング制度を通じて
「後輩を指導できる作業療法士の育成」にも力を入れています。