2014年9月

体の動きの円滑さ(理学療法卒業研究)

こんにちは.理学療法学専攻 越智亮です.


星城大学の理学療法学専攻4年生は,
臨床実習を修了し,卒業課題研究に取り組んでいます.


私どものゼミでは,つまずいたり,滑ったり,よろめいたりしたときに,
転倒を回避するための足の踏み出し動作について研究を行っています.


今年度の実験は,写真のように対象者の身体腰部を牽引して,側方に傾斜してもらい,
検査者が任意のタイミングで牽引ベルトを解放することで,
サイドステップを誘発する方法を使っています.


ゼミの学生は,動作解析装置や床反力計を使って,
サイドステップを運動学的に分析しています.

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バランスを崩したときに,とっさに足が出ない,
あるいは足が出ても,その後に姿勢がふらついてしまえば,
結果的に転倒につながり,場合によっては骨折してしまうかもしれません.


転倒を防ぐためのステップは,足を素早く大きく踏み出すことが必要です.


足をとっさに,円滑に出すためには,体や足の筋肉の協調的な働きが重要です.


下の図のように,股関節と膝関節のモデルに対し,
赤と青のゴムひもが付いていたとします.

ochi2014090333_2.png

足が地面から離れている時に赤のゴムひもが収縮すれば,
足の末端は前へ動きます.


このとき,青いゴムひもは緩んでいなければ,
スムーズに足の末端は前へ動かないでしょう.


しかし,青いゴムひもに余分な収縮があると,
前への足の円滑な動きは邪魔されるかもしれません.


足の末端を前へ動かす動作に対して,
赤いゴムひもを筋肉とすると"主動筋",青いゴムひもは"拮抗筋"といえます.


実は,転びやすい高齢者は,
元気な高齢者と比べ,足を前に踏み出す動作の時に,
上記のような主動筋と拮抗筋の筋肉同士の協調的な働きがうまくいかず,
足の踏み出し速度が遅くなっていることがあります(Ochi A, Yokoyama S, et al.: Differences in muscle activation patterns during step recovery in elderly women with and without a history of falls. Aging Clin Exp Res 26: 213-220, 2014.).

もちろん,ヒトの足にはたくさんの筋肉がありますので,
ある関節運動が起こるときに主動筋を助ける"協同筋"もあります.


一つの関節の動きでも,多くの筋肉が参加して協調的に働くことで,
円滑な体の動きを生み出しています.


私のゼミの3名の学生も互いに主動筋と協同筋になって
円滑に研究を進めていってもらいたいと願っています.


たま~に,私が学生達の研究に対して拮抗筋になることもありますが....