サン=テグジュペリ 『星の王子さま』 新潮文庫 2006年発行 ほか

 世界的ベストセラーですので、子供の頃に読んだという人もいると思います。「いちばんたいせつなことは、目に見えない」という言葉が特に有名です。
 一方、「当たり前のことしか書いてない」と評する声もあります。実際、大人への厳しい言葉は、大人を矮小化したその産物にも見えますし、また、幾つもの言葉が心に沁みるのも、物語が醸し出す幻想的な雰囲気の効果ゆえなのかも知れません。
 それでも、自分の経験から言って、この本には一定の価値があると思っています。なぜなら、この本は、「で、一番大切なことって何?」と自ら問うという、必ずしも当たり前ではないことを、読者に――あるいは一部の読者に――促してくれるからです。

(リハビリテーション学部 岸貴介)