2021年3月

池谷裕二 『進化しすぎた脳 ―中高生と語る「大脳生理学」の最前線』 講談社 2007年発行

 大脳生理学者が対談を通して、高校生に脳の進化、心、記憶などを講義する内容である。高校生との対談形式であるため、理解しがたく手に取りにくい印象のある脳について著者は平易に説明しており、理解しやすい。
 脳地図は体が決める、あいまいな記憶が人間にとっては良い、意識の最低条件など、脳や人間の生理や行動を理解することにつながり、興味深い内容が数多く記述されている。
人間の心や体を学ぶ者にとって役立つ1冊である。

(リハビリテーション学部 林浩之)

三浦綾子 『道ありき 青春篇』 新潮文庫 1980年発行

 13年にわたる病床の青春と信仰への道のりを率直に語った自伝小説。作者の精神の成長に心を震わす読者が多い。が、少々私的な楽しみ方を口コミしたい。病床という狭い空間で、愛し愛される人々、"立派"な人々、自由でわがままで弱い人々、多様な人間模様がオムニバス映画のように次々と登場し交差する。どんな状況にあっても世界は拡がる...閉塞感を感じるのは自身の心だ。コロナ禍の今、読み返したい1冊。

(経営学部 岡室美恵子)