三浦綾子 『道ありき 青春篇』 新潮文庫 1980年発行

 13年にわたる病床の青春と信仰への道のりを率直に語った自伝小説。作者の精神の成長に心を震わす読者が多い。が、少々私的な楽しみ方を口コミしたい。病床という狭い空間で、愛し愛される人々、"立派"な人々、自由でわがままで弱い人々、多様な人間模様がオムニバス映画のように次々と登場し交差する。どんな状況にあっても世界は拡がる...閉塞感を感じるのは自身の心だ。コロナ禍の今、読み返したい1冊。

(経営学部 岡室美恵子)