4月3日(木)入学式が挙行されました。【学長式辞はこちらから>>】

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平成26年入学式式辞

 本日は、東海市市長鈴木淳雄様(当日は近藤福一副市長様が代理ご参加)、東海商工会議所会頭白羽文彦様、本学の提携校の学校法人愛美学園啓明学館高等学校長中西新八郎先生、同じく提携校三重県立津商業高等学校長西山博先生、長く連携活動を行っている地元東海市の愛知県立東海商業高等学校長石濱登先生、種々ご支援いただいているやはり地元の愛知県立東海南高等学校長渡邊修先生、星城大学後援会会長山中亨浩様をはじめ多くのご来賓のご光来を賜り、誠にありがとうございます。衷心より御礼申し上げます。
 星城大学および大学院にご入学の皆様、おめでとうございます。ご家族ならびにご関係の皆様、心よりお祝い申し上げます。
 皆様方が、愛知県東海市にあるこの星城大学で、学生生活をお送りになるのは、大変幸せだと思います。
 なにしろこの地は、大学生活を送る上で、世界的にも、全国的にも、最高の土地の一つだからです。これは、決して誇張ではありません。
 皆様は、楽市楽座を、信長が大々的に実行したことは御承知のことと思います。楽市楽座は市場取引の自由化ですから、今でいう規制緩和です。これは、偉大な経済学者アダム・スミスが『国富論』で、市場における自由競争こそが、国の豊を生むとした1776年から遡って約200年も前のことです。スミスのように、経済理論として学問的に整備はされてはいないものの、楽市楽座を実際に大々的に実行したのですから、尾張の地は経済運営において世界の先鞭をつけていたといえます。
 そして、それによる豊かな経済力があったからこそ信長は、高価な鉄砲を大量に購入でき、設楽が原で、鉄砲の集団的使用により当時最強の武田騎馬軍団に勝利しましたが、この戦闘方式も、世界初のイノベーションでありました。これ以外にも、信長は、数々のイノベーションにより成功を収めましたが、イノベーションをするという文化は、知多を含め尾張一帯で今日まで継承されています。それはこのあたりのお祭りの山車のどれもが、筆で文字を書いたり(東海市大田まつりの里組)、水瓶に落ちた子供すくために瓶を割ったりする(司馬温公の瓶割り:東海市横須賀本町組)「からくり人形」などをのせているのをみればよくわかります。この地の人の、からくり好きが、自動織機の発明、そして自動車産業の発達につながったのです。
 信長によるイノベーションは、単なる「技術の革新」だけではなく、すでに見た組織の革新もあり、桶狭間奇襲成功の恩賞では、武力以上に情報を重視するという発想の転換があり、兵と農の分離という制度の革新などもあり、今日の経営学でいう、戦略、組織化、実行という全体にわたり、戦国時代の尾張・三河では、先駆的イノベーションが、展開されました。そういった状況は、蒲郡の作家・宮城谷昌光氏の『新三河物語』にも書かれています。ですから、星城大学に入学する皆様は、信長・秀吉・家康が「中原に鹿を追った」山河をみながら、世界一級の実践経営学を学べるのです。
 さて。皆様方には、経営学あるいはリハビリテーション学の高い専門的知識・技術・技能および創造的課題解決力を身につけていただく必要がありますが、それだけでなく、大学で学んだインテリゲンチャーとして教養も高めていただきたいと思います。
 この点でも、東海市付近は、全国的にみて、優れています。ここは、古事記・日本書記や万葉集によく登場する土地でもあります。名鉄に名和駅がありますが、日本武尊は天皇の命で、東国征伐のため伊勢からお妃の弟橘媛と舟で名和につき、そこで松の木に縄で舟をもやったと言います。縄で舟をつないだので名和という地名となりました。駅の少し東に、日本武尊ゆかりの寝覚めの里公園や石碑もあります。ほかにも、在原業平が東海市に来られたという伝説があり、業平塚も現存します。また、高横須賀の諏訪神社境内には、あゆち潟を詠んだ万葉集の歌の歌碑もあります。歌碑がたてられたのは1818年ですから、約200年前に万葉の歌碑を建てようというほど文化を大事に思う人が東海市におられたということになります。
 さて、1961年、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)氏が、アメリカ大統領になられたとき、大統領は「上杉鷹山公を尊敬しています。」と日本の新聞記者に語られたそうです。それで、日本でも鷹山公が再び著名になりました。
 大統領は内村鑑三氏が英語で書いた『代表的日本人』をお読みだったのです。しかし、その後、この話を裏付ける証拠がないとして大統領の発言を否定する説が強くなっていました。このとき、大統領のお嬢様キャロライン・ケネディ氏が、駐日大使にとして来日され、講演で、「父は上杉鷹山を尊敬していました。」という逸話を紹介なさったのです。米澤の方々は大喜びなさっているそうです。
 この話をしましたのは、東海市の生まれの細井平洲師は、上杉鷹山公の先生だからです。それほど偉い平洲師は、星城大学のある如来山を愛され、みずからの号を如来山人としておられました。そのことを示す石碑は、大学の西門の前にあります。皆様はその如来山で毎日学ぶことになります。
 皆様は、このように本当に素晴らしいところで大学生活をお送りになるのですが、星城大学も、優れた点が一杯ある大学です。大学は高等教育機関ですが、高等教育とは、新しい知識を生み出すことができる人を養成する機関です。ところで、創造力のある人を養成するには、大学の研究力が高くなければなりません。大学の研究力をみるよい指標とされているのは、文部科学省等の科学研究費補助金の採択です。これは科研費と略称されますが、東海地方4県、静岡、愛知、岐阜、三重には85の私立大学のなかで、昨年4月時点で教員の20%以上が採択されているのは、わずかに11大学だけで、星城大学はこのトップクラスに入っているのです。ですから星城大学の研究力は一流といえます。研究力の高い先生が教育しますから、学生の創造力は高くなり、創造的課題解決力が身につきますので、本学の卒業生は社会から歓迎されます。私たち大学の運営にあたる者はみんな、毎年4月になると、今年の採択は何件になるかと、どきどきしているのですが、4月1日に今年の採択がわかりました。採択件数は昨年の11件から14件の、約2割増です。ますます研究力が高くなっています。
 第2は、国際化です。アメリカの州立大学は日本でいうと国立大学ですが、本学はアメリカのセントラル・フロリダ州立大学をはじめ、台湾、中国、韓国の大学と交流協定があり、毎年研修旅行で短期にアメリカや台湾に行きますし、長期には、中国へも留学します。セントラル・フロリダ大学の近隣には、ディズニー・ワールドも、ケネディ宇宙センターもあり、研修旅行の学生は、ミッキーマウスとも、アメリカの大学教授や学生とも英語で話してきます。中国に1年留学した学生は、中国語国家試験で、最難関級に合格しています。めったに合格できるものではありませんので私たち感激しています。英語が得意でなかったのに、アメリカに1年留学して流暢に話せるようになって帰ってきた学生もいます。
 国際化という点では、本学の中枢で大学の運営にあたる幹部は、日本、韓国、台湾、アメリカの4か国人で構成しています。企業においても、トップ経営陣の国際化は全く遅れている日本にあって、本学の「大学運営の国際化」は、全国的にも先進的だと思っています。因みに、大学の女性教員比率も高く、教員籍3人の学長補佐のうちの1人は女性です。ダイバーシティ経営が進み、女性が輝いているという点でも本学は先駆的といえます。
 さて、名古屋石田学園の建学の精神は、彼我一体を根本精神とする、①報謝の至誠、②文化の創造、③世界観の確立の3つです。
 これを堅持し、この方向で努力すれば、皆様方は間違いなく幸せになりますし、その上で社会を幸せにするのに貢献できると私は確信しています。
 まず、世界観の確立ですが、ケネディ大統領が、なぜ上杉鷹山公を尊敬なさったのかと言えば、鷹山公の世界観が格段に進んでいたからです。藩財政の立て直しも高い評価につながったと思いますが、鷹山公が、封建時代に、その時代的制約を超えて現代の民主主義に通ずる世界観に到達されていたのが大きいと思います。とくに、アメリカは民主主義を確立し世界に広め、これは人類へのアメリカの大貢献ですから、鷹山公を評価なさるのです。
 現代の思想は、さらに進み、人が権利として平等であるというだけでなく、心身の特性や体力の強弱にかかわらず人として平等に活動できる社会を、ユニバーサルな社会として希求しており、リハビリテーション学を学ぶ方だけでなく、現代ではおよそ知識人と言われる人はこの思想水準に達していると思います。それだけでなく、クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss)の構造主義以来、アフリカ等の文化は、欧米の文化に劣るのではなく、欧米文化と同等の価値があることを理解するようになり、それは、最近の方言や地域の伝統芸能などの固有文化の尊重という形で現れています。私たちの社会の現代は、これら以外に、平和で、エコロジカルで、経済的にも豊かで、女性も、そして、多様な国の人々も活躍し、調和ある共存ができる地球社会を作り上げていくことに向かっています。このような最新の思想の到達水準に立って、各自が世界観を確立していくことを、石田学園の建学の精神は皆様方に求めているのです。
 そして、その世界観に基づき、東海市の文化、知多の文化、愛知そして日本の文化、ひいては、世界の文化の創造に向かうのだというのが星城大学の建学の精神の第二のものです。
 さて、①報謝の至誠は、徹底的に感謝するということですが、それが本当にできれば、先方からも感謝がかえってきますから、万事がうまくいきます。しかし、徹底的に感謝するのが難しいことも多いでしょう。このとき、皆様はかかわる人や組織のいい点優れた点を懸命に探してください。当人や当の組織が気の付かない美点を見つけだすと最高です。こうなると、お付き合いが楽しくなりますし、先方も好意を示してくれますから、本当に感謝でき、それがお互いにとっていい結果に結びつきます。
 報謝の至誠という名古屋石田学園の建学の精神は、あなたが幸せになる上でまことに力強い手助けをするものといえましょう。
 こうして、皆様、あなたがたがまず幸せになってください。そうして、皆様のそれぞれが、しっかりとした世界観を確立し、文化を創造して、地域の幸せ、ひいては地球社会の幸せに貢献してください。
 最後に、愛知県立西尾高等学校を卒業された茨木のり子さんの詩を朗読して、式辞とします。

 

 こういう美しい村、美しい街をつくるのは、今日入学してこられた皆様方です。どうかよろしくお願いします。本日は、おめでとうございます。

平成26年4月3日
星城大学
学長 赤岡 功

 
 

日本武尊は東国征伐で、伊勢から現東海市の名和につき、松の木に縄で舟をつないだ。それで名和という地名になったという。
近くに、お泊りになって、波の音で目が覚めたといれる屋敷があったという。

  

 

 

在原業平は、舟で富田(現在は富木島)に来られたという。塚は、後田交差点近くのガソリンスタンドの北の富田川沿いの小道を東へ、小さな橋の手前にある。今も地元の人が大事にお参りされ、花を絶やさない。猫もお守りしている。

「学長メッセージ」はこちらからご覧ください>>

入学式の様子は、以下のメディアに取材いただきました。
◎「mediasエリアニュース」 月曜日から金曜日、毎日17時から生放送。
【初回放送】4月3日(木)17時~
【再放送】(当日)20時~ 22時~ 23時~
     (翌日)6時~ 7時~ 8時~ 10時~
◎「もりっとNEWS1週間」 週末(土・日曜日)放送。
【初回放送】4月5日(土)10時~
【再放送】(土曜日)18時~(日曜日)7時~ 16時~ (月曜日)7時~ 

※メディアスチャンネルHP(http://www.medias-ch.com)でも、後日「動画ニュース」として配信されました。

 

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