岡潔「春宵十話」光文社文庫 2006年発行

~春宵十話から読む日本人~

 春宵十話は、天才数学者の岡潔が、数学に対する考え方や研究、教育の仕方へのアドバイス、世相への批判と未来の展望と恐れを綴った随筆集である。この随筆集では、日本文化の特性は「情緒」としており、憂いや道義がある美しい文化を読み解くことが出来ます。そして、私が留学の時に「日本人はどうあるべきか」と考えさせられた一冊です。皆さんも、この本から日本人らしさとは何か考えてほしいです。

(経営学部 野場惇平)

岡村昭彦 「続 南ヴェトナム戦争従軍記」 岩波書店 1966年発行

~今だからこそ読みたい。従軍記の古典的作品。

一つの戦争はその両側から取材されなければならない~

 ベトナム戦争報道の嚆矢としてベストセラーになった前著の続編。前著では、米軍側に従軍したために、南ベトナム解放民族戦線を「ベトコン(ベトナム共産主義者)」と表現。猛省した岡村(1929-1985)は、あらためて解放戦線側から取材し、本書を著した。フィン・タン・ファット副議長(解放戦線)と交わした言葉は珠玉だ。ファットから「記念に」と所望され、岡村は所持していた『魯迅選集』を快く譲っている。――私は以前ベトナムでファットの長女宅を訪れ、その本を探したのだが、残念ながら見つからなかった。

(リハビリテーション学部  比留間洋一)

Jain, R. K.「Art of Computer Systems Performance Analysis : Techniques for Experimental Design, Measurement, Simulation, and Modeling」 John Wiley and Sons Ltd 1991

 本書は著者の経験に基づいて、計算機関連分野における問題分析、実験設計、実験方法、結果分析のテックニックなどを紹介しているものであり、多くの専門家からも勧められている書籍である。本書はこの分野で勉強、研究している学生はもちろん、他の分野を専攻している学生(例えば経営学部の学生)、特に卒業研究中の学生にも、問題分析、研究方法や結果の分析方法を学ぶとき、大変有意義の本であり、お勧めする。

(経営学部 黄 平国)

西村 周三/井野 節子 「国民の最大関心事!社会保障を日本一わかりやすく考える」 PHP研究所 2009年発行 

 「社会保障」という言葉、よく耳にする機会はあるかもしれませんが具体的な内容や仕組みまで知らないという人は多いかもしれません。しかし、人の命や人の一生の生活にかかわる大変重要な制度です。この本は、図や表などを多く用いてタイトルどおり「わかりやすく」書かれているので、短時間で社会保障の中でも特に医療制度を理解するには最適な本です。経済学的視点からも書かれているので、是非一読をお薦めしたい。

(リハビリテーション学部 林尊弘)

クレイトン・M・クリステンセン他  「イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ」 翔泳社 2012年発行

 本書は,ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授が大学を卒業していく学生のために贈った人生の経営学書である。人生において極めて重要な職業の選択、生きる目標の確立、子供の教育、家庭のマネジメントなどに経営学の理論を応用することにより、充実感に満ちた幸せな人生をつかみ取るためには、「どのような考え方をすればよいか」を示している。是非一読をお勧めする。 

                                                (経営学部 小島廣光)

佐野眞一 「あんぽん 孫正義伝」 小学館 2012年発行

 ソフトバンク社長の孫正義の生い立ちを書いた本である。孫正義は佐賀県鳥栖市の朝鮮部落の生まれである。日本名は安本と名乗り、「あんぽん」と言われ、いじめられていた。私は鳥栖市出身で、孫正義の祖母がいじめられていたのを覚えている。しかし、この本を読むまであのいじめられていたおばあさんが孫正義の祖母で、孫正義が鳥栖市無番地という住所がない朝鮮部落出身とは知らなかった。不安、悩みが多い学生時代に是非読んで頂きたい。

(リハビリテーション学部 作業療法学 専攻長 坂井一也)

アル・ゴア 「不都合な真実 地球温暖化の危機 ECO入門編」 ランダムハウス講談社 2007年発行

~今一度、この事実に目を向けて下さい

明日からの暮らし方が変わるかもしれません~

 この本は、読み物というより眼で理解する本です。各々の写真に短い解説がつけられていますが、そこを読まずとも事態の深刻さが容易に理解できます。私たちが暮らすこの地球は、もはや限界が見え始めているのです。この事実から目を背けることなく、ひとりひとりができることを始めなければならないのです。是非この本に触れ、「地球温暖化」の現実を認識して下さい。

(リハビリテーション学部 理学療法学 専攻長 古川公宣)

石井光太 「蛍の森」 新潮文庫 2016年発行

 物語は、2012年、四国の山村で起きた老人連続失踪事件に端を発し、読み進めるうち、60年前に闇に葬られたハンセン病患者への差別と偏見に満ちた悲しい歴史が明らかになってくる。あまりの悲惨さ、残酷さに思わず目を背けたくなる叙述もある。ミステリー仕立てで、最後は、事件の謎が解け、辛くも安堵する事実が待っている。「生とは何か?」を改めて考えさせられる一冊である。

(リハビリテーション学部 リハビリテーション学科長 山田和政)

トーマス・クーン 「科学革命の構造」  みすず書房  1971年発行

 「一般的に認められた科学的業績で、一時期の間、専門家に対して問い方や答え方のモデルを与えるもの」を「パラダイム」と命名したクーンが、単行本として初めて世に問うた著作。実験・観察データが示す現実の有様が既存理論を凌駕すると、馴染みの理論が破棄され新理論へとシフトする。このパラダイムシフト受容時に必要な、強靭な精神力を持つ者のみが科学探求者として相応しい。大衆化が顕著な今こそ大学人が読むべき一冊。

(学長補佐 経営学部 加藤知子)

井筒俊彦訳 「コーラン」上・中・下巻 岩波文庫 1957・1958年発行

~現代を理解する1冊~

 今イスラムが注目される中、万巻の書を差し置いてコーランを私は薦めます。しかし、読む際念頭において欲しいことが一つあります。それは文体の違いです。例えば新聞、小説、詩の文体を想起して下さい。コーランは時期(話題)によって文体が異なるのです。例えば終末描写は詩的です。井筒はコーランの複数の文体を歯切れよく口語訳した恩人ともいうべき学者です。氏の名訳と共にイスラムの根幹に触れてはいかがでしょうか。

(学長補佐 リハビリテーション学部 森川孝典)