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星城大学の学びがわかる

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2025.12.23

リハビリテーション学部の進路を徹底解説|学びの内容から卒業後の就職までわかる!


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「人の役に立つ仕事がしたい」「医療系の進路に進みたい」と考えている高校生にとって、リハビリ学部(正式にはリハビリテーション学部)は、注目すべき選択肢の一つです。近年、少子高齢化の影響で医療・福祉の現場におけるリハビリ専門職の需要が急増しており、安定性や将来性のある職業として再評価されています。
しかし、いざリハビリ学部に興味を持っても、「何を学ぶのか」「どんな職業に就けるのか」「他の医療系学部とは何が違うのか」といった疑問を持つ人は少なくありません。進学先として選ぶには、専門性の高さや国家資格との関係性、将来の働き方まで知っておく必要があります。
ここからは、リハビリ学部の学びの内容や向いている人の特徴、取得できる資格、卒業後の進路、大学選びのポイントまでを、徹底解説します。

1. リハビリ学部ってどんな学部?進路として選ぶ前に知っておきたいこと

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1-1. リハビリテーション学部で学べることとは?

リハビリテーション学部では、身体や心に障害のある人が、その人らしく生活できるよう支援するための知識と技術を学びます。カリキュラムは大きく分けて、基礎医学系の知識とリハビリテーション専門科目の2つの柱で構成されています。
基礎医学では、解剖学・生理学・運動学・病理学など、人体の仕組みや障害の原因を理解するための知識を習得します。

一方の専門科目では、理学療法学・作業療法学・日常生活動作(ADL)訓練・リハビリ心理学・高齢者支援論など、実践的なスキルと患者支援の考え方を身につけます。
また、多くの大学では2〜4年次にかけて臨床実習が実施され、病院や施設での現場経験を通じて、チーム医療や多職種連携の実際を学びます。

このように、リハビリ学部は「人の体・心・生活」を支える医療人を育成する、実践的な学びの場といえるでしょう。

1-2. どんな人がリハビリ学部に向いている?

リハビリ学部は、たとえば人と丁寧に関わることが好きな人や、誰かを支える仕事に魅力を感じる人に向いています。リハビリの仕事は、患者さんや利用者の方と時間をかけて関係を築き、その人の生活に寄り添いながらサポートしていくもの。だからこそ、「聞く力」や「共感する気持ち」がとても大切です。
また、コツコツと努力できる人や、小さな変化に気づける人もこの分野に向いています。リハビリは一朝一夕では成果が見えにくい分野でもあり、地道な支援を積み重ねていくことが必要とされます。特別なスキルよりも、「人のために何かしたい」という想いや継続力が活かされます。
こうした気持ちを大切にできる人には、リハビリの学びがきっと向いています。

1-3. 医療系の他学部とどう違う?

リハビリ学部は、看護学部や臨床検査技師養成課程、薬学部などと同じく医療系の学部ですが、「治すこと」よりも「生活を支えること」に重点を置いている点が大きな特徴です。医師や看護師が治療や診療を担うのに対し、リハビリ職は患者さんが再び自分らしい生活を送れるよう支援する役割を担います。

たとえば、理学療法士は「歩く・立つ」などの動作の回復、作業療法士は「食事・着替え・書く」といった日常動作の支援を行います。このように、医療と生活の間をつなぐ役割を果たすのがリハビリ職です。
また、リハビリ学部では身体のケアに加えて、心理面や社会復帰への支援にも重点を置く点が他の医療職とは異なります。こうした特徴から、医療の知識と人間理解の両方が求められる、バランスの取れた専門職といえるでしょう。

2. どんな職業に就ける?取得できる資格と目指せる仕事一覧

2-1. 理学療法士とは?

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理学療法士(Physical Therapist:PT)は、ケガや病気、高齢による身体機能の低下に対し、運動や物理療法を用いて「動く力」を回復・維持させる専門職です。対象となるのは、骨折や脳卒中、スポーツ障害、加齢による運動機能の低下などを抱える人々で、年齢層も乳児から高齢者まで幅広いのが特徴です。

大学では、解剖学・生理学・運動学などの医学基礎に加えて、運動療法学・物理療法学・臨床評価法などの専門的な知識を学びます。さらに、病院や施設での臨床実習を通して、患者の状態を的確に見極めたうえで、適切な運動プログラムを立てる力を身につけていきます。

理学療法士は、歩行や関節の可動域、筋力などに直接アプローチできるため、「できなかったことができるようになる」感動的な瞬間に立ち会える職業です。医学的知識と人とのコミュニケーションの両方を活かせる、非常にやりがいのある専門職といえるでしょう。

2-2. 作業療法士とは?

作業療法士(Occupational Therapist:OT)は、身体や精神に障害のある人に対して、日常生活や社会活動への参加を支援する専門職です。たとえば「食事をする」「服を着る」「文字を書く」「働く」といった生活動作を訓練し、その人らしい生活の再構築を支えていきます。

作業療法士は、身体機能だけでなく認知機能・精神面・社会性にも目を向けるのが特徴。対象となるのは、高齢者の認知症、発達障害のある子ども、うつ病や統合失調症を抱える人など、多岐にわたります。

大学では、作業療法評価学、精神障害学、日常生活活動訓練学、発達障害論などを学び、身体と心の両面にアプローチする力を養成。実習では、病院や福祉施設、精神科病院、障害者支援施設など、さまざまな現場で経験を積みます。
「できないこと」を補うのではなく、「できること」を見つけて伸ばす支援。対象者の強みを引き出し、前向きな人生の再スタートを支える、大きなやりがいのある仕事です。

2-3. その他の専門職(言語聴覚士など)

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リハビリ学部では、理学療法士や作業療法士のほかにも、言語聴覚士(ST)や義肢装具士など、より専門性の高い資格を目指せる道があります。大学のカリキュラムや専攻によって異なりますが、これらの職種を養成する課程が設けられている学部もあります。

言語聴覚士は、「話す」「聞く」「食べる」といった機能に課題を持つ人を支援する専門職です。たとえば、脳卒中による失語症、発達に遅れがある子どもの言語指導、嚥下障害(飲み込みの障害)のリハビリなど、対象は子どもから高齢者まで多岐にわたります。
また、義肢装具士は、事故や病気などで手足を失った人や、身体に障害のある人に対して、義足・義手・装具を設計・製作し、装着までを支援する医療系の技術職。医療と工学の知識を組み合わせた分野として、近年ますます注目を集めています。

こうした専門職は、特定のニーズに応える役割として今後も需要が見込まれます。興味や適性に応じて、進路の選択肢をさらに広げることができるでしょう。

3. 卒業後はどこで働ける?進路の広がりをチェック

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3-1. 病院・クリニックで働く

リハビリ学部を卒業後、多くの学生が最初に目指す進路が病院やクリニックでの勤務です。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などは医療機関に常勤し、入院患者や外来患者に対してリハビリテーションを提供します。

大規模な総合病院では、脳卒中や整形外科の手術後、心臓疾患、がんの後遺症など、専門性の高い分野でのリハビリが行われます。一方、地域密着型のクリニックでは、高齢者の慢性的な身体機能低下や軽度の運動障害を対象に、日常生活の質を高める支援を行うことが多くなります。
また、病院では医師や看護師、栄養士など他職種との連携(チーム医療)が日常的に行われるため、専門知識だけでなく協調性やコミュニケーション力も求められます。患者の「回復の第一歩」を支える重要な役割を担う職場です。

3-2. 福祉施設・在宅分野で活躍する

病院だけでなく、福祉施設や在宅分野もリハビリ専門職の活躍の場として広がっています。高齢化が進む日本では、介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム、デイケア・デイサービスといった施設で、利用者の身体機能や生活能力の維持・向上を目指すリハビリのニーズが高まっています。
また、近年は訪問リハビリテーションの需要も増加中。自宅で生活する高齢者や障害を持つ人のもとへ直接訪問し、個別のリハビリプログラムを提供するスタイルで、地域密着型の支援が特徴です。

福祉・在宅分野では、病気を「治す」よりも生活を支える視点がより強調されるため、利用者本人や家族との信頼関係を築くことが非常に重要になります。住み慣れた環境でその人らしく暮らせるように支援する――そんな温かく、やりがいのあるフィールドです。

3-3. スポーツ・教育・企業で専門性を活かす

リハビリ専門職の進路は医療や福祉にとどまらず、スポーツ分野・教育機関・企業など、さまざまな場面に広がりを見せています。 たとえば、プロ・アマチュア問わずスポーツチームに帯同し、選手のケガ予防やパフォーマンス向上を支援する理学療法士もいます。

教育分野では、特別支援学校や発達支援施設などで、子どもたちの身体や運動機能の発達を支える役割が求められます。また、発達障害のある子どもへの関わりなど、医療とは異なるアプローチが必要となる場面もあります。
さらに、医療機器メーカーや福祉用具企業などに就職し、専門知識を活かして商品開発や営業、コンサルティングに携わる人もいます。こうした非臨床の進路では、医療現場とはまた違った視点で"支援の形"を追求できます。

リハビリ学部の学びを活かせるフィールドは年々広がっており、自分の興味に応じた多彩なキャリア形成が可能です。

4. リハビリ職の収入・働き方・将来性のリアル

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4-1. 年収や待遇はどう?

リハビリ専門職の年収は、勤務先や経験年数、職種によって差がありますが、一般的に新卒で年収300万〜350万円程度からスタートすることが多いです。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の平均年収は、厚生労働省のデータによれば約400万〜450万円前後とされています。

勤務先別に見ると、病院よりも介護施設や訪問リハビリの方がやや高収入となる傾向があり、管理職や専門性の高い分野に進むことで年収アップが見込めます。また、経験を積んで独立・開業する理学療法士もおり、キャリア次第では年収600万円以上を得るケースもあります。

ただし、医師や看護師など他の医療職と比較すると給与水準は控えめ。だからこそ、金銭面だけでなく「やりがい」や「人とのつながり」を重視する人に向いている職業ともいえるでしょう。

4-2. 労働時間・働き方・女性のキャリアは?

リハビリ専門職の働き方は、比較的安定しているといわれています。多くの病院や福祉施設では日勤帯(8:30〜17:30など)が基本で、夜勤や宿直が少ない点が魅力です。そのため、生活リズムを整えやすく、プライベートとの両立がしやすい職業といえます。

特に、女性の割合が多い職種であり、育児や家庭と仕事を両立させながら働く人も多く見られます。結婚や出産後も、パートや時短勤務といった柔軟な働き方を選べる職場が増えてきており、長くキャリアを続けやすい環境が整いつつあります。
また、訪問リハビリやデイサービスなどでは、1日あたりの利用者数が少なめなため、1人ひとりとじっくり向き合う働き方が可能です。自分に合った勤務形態や職場環境を選びやすいのも、リハビリ職の特徴のひとつです。

4-3. リハビリ職の未来と社会的ニーズ

日本は世界でも有数の超高齢社会に突入しており、今後もリハビリ職のニーズは確実に高まり続けると見られています。高齢者人口の増加に伴い、病後の回復や介護予防、在宅生活の支援といったリハビリの役割はますます重要になります。
さらに、医療だけでなく福祉・教育・地域支援・スポーツ分野まで活躍の場が拡大しており、従来の「病院中心」の働き方から、「地域全体で支える」体制へと変化しています。これにより、地域包括ケアシステムや「人生100年時代」の健康づくりの中核を担う存在として期待が高まっています。

一方で、少子化により若手人材が減少していく中、リハビリ職の質や多様性が今まで以上に重視されるようになっています。幅広い知識と柔軟な対応力を持つ人材へのニーズが強くなっており、学び続ける姿勢がより大切になるでしょう。

5. 大学選びでチェックすべきポイントとは?

5-1. 国家試験合格率・サポートの充実度

リハビリ学部を選ぶうえでまず注目したいのが、国家試験の合格率です。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれも、資格を取得するには国家試験に合格する必要があります。そのため、各大学の合格実績は進路の明暗を分ける重要な指標です。

国公立大学や一部の私立大学では、毎年高い合格率を維持しているところも多く、なかには合格率90%超を誇る大学もあります。ただし、数字だけで判断するのではなく、その背景にある教員の指導体制やカリキュラムの工夫、模擬試験の実施状況なども確認することが大切です。

また、国家試験対策の一環として、個別指導や少人数ゼミ、学生同士の学習サポート制度を整えている大学もあります。こうした支援体制が整っているかどうかは、安心して学び、資格取得につなげるための大きなポイントといえるでしょう。

5-2. 実習・臨床経験の体制

リハビリ学部での学びを現場で活かすために欠かせないのが、実習や臨床経験の充実度です。講義で得た知識を、実際の患者や利用者との関わりを通じて深めるこのプロセスは、国家試験対策だけでなく将来の働き方にも直結します。

多くの大学では、3年次から4年次にかけて長期の臨床実習が行われます。病院や福祉施設、訪問リハビリの現場など、幅広いフィールドでの実習が用意されており、対象者への接し方・記録の取り方・評価と訓練の実践方法などを身につけていきます。

大学によっては、実習前に学内でのシミュレーション実習やOSCE(客観的臨床能力試験)を取り入れ、現場に出る前の不安を解消する取り組みも行われています。現場に即した体験を積めるかどうかは、大学選びの大きなポイントといえるでしょう。

5-3. 就職サポートと卒業後の進路実績

リハビリ学部を選ぶ際には、就職サポートの体制と卒業生の進路実績も大切なチェックポイントです。国家資格を取得しても、希望する職場に就けなければ意味がありません。そのため、大学側がどのようなキャリア支援を行っているかを事前に確認することが重要です。

たとえば、個別の就職相談・履歴書添削・模擬面接などの就職支援プログラムを積極的に提供している大学もあります。また、医療機関や福祉施設とのネットワークが強い大学では、学内に求人が集まりやすく、非公開求人にアクセスできるメリットもあります。
さらに、大学の公式サイトなどで、過去数年間の進路実績や主な就職先の情報が開示されているかをチェックしましょう。進学、研究職、地域医療への貢献など、多様なキャリアパスを提示している大学は、学生の将来を見据えた教育を行っている証拠ともいえます。

6. まとめ|リハビリ学部は、社会を支える専門職への第一歩

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リハビリ学部は、身体や心に課題を抱える人々の「生活を支える」専門職を育てる学部です。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、多様な国家資格とキャリアが広がっており、医療・福祉だけでなく教育や企業分野でも活躍が可能です。
医療系の他学部とは異なり、患者の生活に深く関わる支援力や人間力が求められるのが大きな特徴。進学を考える際には、カリキュラム内容、国家試験合格率、実習体制、そして就職支援など、学びの環境をしっかり見極めることが大切です。

リハビリ学部での学びは、社会に貢献できる大きな一歩。将来、誰かの「できる」を支える存在として、あなたらしい進路を切り拓いていきましょう。

リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 学科長 坂井 一也

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