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2026.03.26

理学療法士は大学院に進学すべき?メリット・デメリットを徹底比較


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理学療法士を目指す高校生や保護者の皆様にとって、「大学卒業だけで十分なのか」「大学院まで進むべきなのか」は将来を左右する大きな悩みではないでしょうか。
近年、医療の高度化により、理学療法士にもより高い専門性が求められるようになっています。ただし、すべての人に大学院進学が必要なわけではありません。

この記事では、大学院進学のメリット・デメリット、キャリアや収入への影響について、中立的な視点で解説します。進路選択の参考にしてください。

1. 理学療法士が大学院に進学する人はどれくらい?

理学療法士(PT)の大学院進学は、全体としてはまだ少数派ですが、専門性や研究力を高めたい人にとって一定数の人に選ばれている進路のひとつです。

一般社団法人 日本理学療法士協会の報告や各大学の実績によると、大学卒業後すぐに大学院へ進学する人は学部卒の数%程度〜1割未満とされる報告もあります。
多くの学生は、学部卒業後に国家試験に合格し、病院や施設へ就職して臨床経験を積む道を選びます。

一方で、一度就職してから「もっと専門的な知識がほしい」「研究手法を学びたい」と考え、社会人として大学院に進学する理学療法士も増えています。医療現場では、目の前の患者を支援する上での科学的根拠(エビデンス)が重視されており、その探求のために大学院を選ぶ人も多くなっています。

進学者が少ないからといって、それが「珍しい」「特殊なキャリア」というわけではありません。自分にとって必要かどうかを見極めることが、後悔しないキャリア形成につながります。

2. 大学院で学べることと修了後のキャリア

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理学療法士の大学院では、学部(大学)よりもさらに専門的な知識や、研究の方法を深く学ぶことができます。
たとえば、「けがをした人の回復を早めるにはどうすればよいか」「高齢者が転ばないようにするには何が必要か」など、医療やリハビリの現場で起きている課題を、自分で研究して明らかにしていくのが大学院での学びです。

大学院では、「なぜそうなるのか?」を科学的に考え、文献を調べ、データを集めて分析する力を身につけます。これは、目の前の患者さんにとって本当に効果のあるリハビリを選ぶために欠かせない視点であり、臨床の質を高めるうえで役立つ大きな武器になります。

また、大学院を修了した人の進路は多様です。

  • 大学病院や研究機関で働く
  • 大学や専門学校の教員として教育に携わる
  • 企業の医療・スポーツ分野で研究開発に関わる
  • 一般病院でリーダー的な役割を担う

学部卒では届きにくいキャリアの選択肢が広がります。このように大学院進学は「研究職を目指す人のため」だけでなく、現場でより信頼される理学療法士になるための選択肢でもあるのです。

3. 大学院進学のメリット・デメリット

理学療法士が大学院へ進学するかどうかを考えるとき、メリットとデメリットの両方を知っておくことが大切です。大学院はキャリアの幅を広げる大きなチャンスである一方、費用や時間の負担もあるため、事前にしっかり検討する必要があります。

3-1. 進学のメリット|キャリア・年収・専門性の向上

理学療法士が大学院に進学する大きなメリットは、キャリアの選択肢が広がることです。大学院で研究力や専門性を高めることで、次のような可能性が広がります。

● 特定の分野を深く学び、専門性を高められる

大学院では、リハビリの中でも「脳の障がい」「スポーツでのけが」「子どもの発達」など、特定の分野を専門的に学ぶことができます。学部で広く学んだ内容をさらに深めることで、より効果的で安全なリハビリを提供できるようになります。その結果、リハビリの質が高まり、患者さんや家族からの信頼も厚くなります。

● 科学的な根拠をもって質の高い理学療法を提供できる

文献検索、統計、研究デザイン、論文執筆など、科学的に物事を考える力が養われます。これにより、「なぜこの治療法を選ぶのか?」など、患者さんに対してより効果的で根拠のあるリハビリテーションを提供しやすくなります。

● 教育や研究の道に進むことができる

将来、大学や専門学校で教育に携わりたいと考える場合には、大学院を修了していることが条件となることがほとんどです。
理学療法士として働きながら、「もっと理論的に学びたい」「自分の知識を次の世代に伝えたい」と考えたとき、大学院はその夢をかなえるためのステップになります。

● 企業・行政などキャリアの幅が広がる

医療機器メーカーやスポーツ関連企業、自治体の健康づくり事業など学部卒では入りにくい領域で活躍する人も増えています。
プロスポーツチームの選手サポートや、高齢者の転倒予防プロジェクトに関わるなど、さまざまなフィールドで自分の専門性を活かす道が開けます。

● 収入アップや昇進につながる場合もある

臨床現場では大きな収入差が生まれるとは限りませんが、大学教員や企業の研究職として働いたりするチャンスが増えることがあります。
そうしたポジションでは、学部卒よりも高い年収が設定されている場合もあり、長期的にはキャリアアップにつながる可能性があります。

このように、大学院で得た経験は「研究職だけのもの」ではなく、実際の医療現場でも活かせるスキルとなります。

3-2. 進学のデメリット|費用・学業との両立・臨床離れの不安

一方で、大学院進学には注意すべき点もあります。

● 学費と生活費の負担がある

国公立か私立かによって費用は異なりますが、2年間で数百万円程度かかる場合もあります。授業料だけでなく、教科書代や研究活動費、交通費、実家を離れて暮らす場合は、家賃や生活費も必要になります。
事前に具体的な資金計画を立てておくことが大切です。

●臨床現場から離れることへの不安がある

フルタイムで大学院に通う場合、臨床現場から一時的に離れることになります。そのため、「現場の感覚が鈍ってしまうのではないか」と不安に感じる人もいます。
とくに、大学を卒業してすぐに進学する場合は、臨床経験を積むタイミングが遅れることもあります。将来どのような理学療法士になりたいのかを考えた上で、進学の時期を判断する必要があります。

● 研究が合わないと精神的な負担になることも

大学院の学びの中心は「研究」です。文献を読み、統計を使ってデータを分析し、論文を書くという地道な作業が続きます。
研究への適性が合わない場合、精神的な負担を感じることもあります。
「大学院で何を学びたいか」「なぜ研究に取り組みたいのか」という明確な目標設定が大切です。

● 仕事と学業の両立(社会人進学の場合)

社会人大学院は、仕事を続けながら学べる点が魅力ですが、その分、業務後の通学や休日を使った研究活動など、時間的・体力的・精神的な負担が大きくなります。体力や時間管理の工夫だけでなく、家族や職場の理解と協力も必要不可欠です。

● 学歴が収入に直結するとは限らない

大学院を修了しても、すべての医療機関で給与や待遇が大きく変わるとは限りません。病院によっては、学部卒と大学院卒で待遇がほとんど変わらないケースもあります。
大学院進学は、「すぐに収入が増える手段」として選ぶのではなく、将来的なキャリアアップや専門性の向上を重視する選択肢として捉えることが大切です。

大学院進学は、専門性の向上やキャリアの幅を広げる大きなチャンスです。
一方で、費用や時間の負担、研究の向き不向きといった現実的な課題もあります。
メリットとデメリットを比較しながら、「自分がどんな理学療法士になりたいか」を軸に判断することが大切です。

4. 学費・奨学金・学び方の選択肢(社会人大学院など)

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大学院進学を考える上で、学費や経済的な負担は大きな関心ごとの一つです。ここでは、理学療法士が大学院に進学する場合の学費の目安や、利用できる奨学金制度、働きながら学べる学び方の工夫についてご紹介します。

● 大学院の学費はどれくらい?

理学療法士の大学院進学では、修士課程(2年間)が一般的です。学費は大学によって異なりますが、目安としては次の通りです。

区分 2年間の学費(目安)
国公立大学 約100万〜150万円
私立大学 約200万〜300万円

この他に、入学金や教材費、研究にかかる費用が必要になる場合もあります。
また、自宅から通えない場合は、家賃・食費・交通費などの生活費も含めて検討する必要があります。

● 利用できる奨学金・支援制度

進学にあたっては、以下のような奨学金制度を活用できます。

  • 日本学生支援機構(JASSO)の奨学金
    第一種(無利子)・第二種(有利子)があり、利用する学生も多いとされています。
    JASSO公式サイト
  • 大学独自の奨学金や授業料減免制度
    成績や経済状況に応じて、授業料の一部が免除される制度を設けている大学もあります。
    星城大学大学院でも、授業料の一部免除制度や研究活動を支援するための補助(学会参加費・研究費など)が用意されています(※制度の内容は年度により異なります)。
    星城大学公式HP履修システムと学納金(学部・大学院)
  • 教育ローン(日本政策金融公庫など)
    一定の条件を満たせば、低金利で借り入れができ、返済も卒業後から開始できる場合があります。

進学を考え始めた段階で、大学の奨学金窓口や募集要項を早めにチェックしておくと安心です。

5. 理学療法士が大学院進学を選ぶべき人とは?

大学院に進学するべきかどうかは、人によって答えが異なります。進学すれば将来の可能性が広がりますが、学費や時間、研究への取り組みなど、簡単な道ではありません。 だからこそ、「どんな人に大学院進学が向いているか」を考えることが大切です。ここでは、進学を前向きに検討できるタイプの人の特徴をご紹介します。

  • より専門的な分野を深く学びたい人
    学部の授業や実習で、「もっとこの分野を深く知りたい」「研究してみたい」と感じた人は、大学院での学びに向いています。
    脳卒中のリハビリ、小児の発達支援、スポーツリハなど、自分の興味のある分野にしっかり取り組めるのが大学院の魅力です。
  • 理学療法を理論的に考えたい人
    「なぜこの運動が有効なのか?」「このリハビリの根拠は?」といった疑問を持つタイプの人は、大学院での研究に向いています。
    大学院では、ただ技術を学ぶのではなく、「考える力」を育てることができます。
  • 教育職や研究職に興味がある人
    将来、大学や専門学校で教えたい、研究機関で活動したいと考えている人にとって、大学院進学は必須のステップになります。
    修士号が応募条件となる職場も多いため、進学しておくことで将来の選択肢が増えます。
  • チーム医療の中で頼られる存在になりたい人
    研究を通して得た知識や分析力は、実は臨床現場でも強い武器になります。
    「なぜこの治療を選ぶのか」を論理的に説明できる理学療法士は、患者さんだけでなく、医師や看護師からも信頼される存在になります。
  • 将来のキャリアや働き方を広げたい人
    医療現場だけでなく、企業や行政など新しい分野にも挑戦したいと考える人にも大学院はおすすめです。
    専門性や学位があることで、これまでにない働き方を選べる可能性が広がります。

大学院進学に正解・不正解はありませんが、「こんな理学療法士になりたい」という将来像がある人にとって、大学院はその夢を現実に近づけるステップになります。
6. 星城大学をはじめとする大学院進学先の例

6. 星城大学をはじめとする大学院進学先の例

大学院進学を考える際、「どの大学院を選ぶか」はとても重要なポイントです。
学べる内容、研究環境、学費、サポート体制など、大学院ごとに特徴が異なるため、合った大学を選ぶことが将来のキャリアにも大きく影響します。

● 星城大学大学院 健康科学研究科

星城大学には、学部(リハビリテーション学部)の上に「大学院 健康科学研究科」が設置されています。

  • 特徴:「身体機能の回復」だけでなく、工学的な視点を取り入れた「生活支援」や、地域社会と連携したリハビリテーション研究に力を入れています。
  • 学びの環境:臨床経験豊富な教員が多く、学部時代から研究マインドに触れることができます。また、夜間・土日授業があり、社会人が学びやすい環境づくりが行われています。

また、学費支援制度も充実しており、成績や研究活動に応じた授業料減免や研究費補助が用意されています(※公式情報は年度ごとに更新されるため、最新の募集要項の確認が必要です)。

また、星城大学のような大学院併設校なら、慣れ親しんだ環境で深めた研究を継続でき、先生との連携も取りやすいというメリットがあります。

※参考:星城大学大学院公式サイト

● 他大学の進学先の一例

進学先の選択肢は広く、「研究内容」「通いやすさ」「学費」「サポート体制」など、自分の目的やライフスタイルに合った進学先を選ぶことがポイントになります。

  • 国公立大学院(名古屋大学、名古屋市立大学、岐阜大学など)
    医療・福祉の分野で高度な理論と研究力を身につけたい方に向いています。医療統計や予防医学など、学術寄りの内容を深く学べる環境があり、研究志向の強い方におすすめです。国立大学のため、学費も比較的抑えられています。
  • 私立大学院(藤田医科大学大学院など)
    病院併設の強みを活かし、臨床に近いテーマに取り組める大学院です。高度な実践力と研究能力を同時に高めたい人に向いています。設備や研究サポートが整っている点も魅力です。
  • 社会人大学院(夜間・土日・オンライン対応)
    夜間や土曜日に開講される授業が中心で、理学療法士として働きながら修士課程を履修することが可能です。「現場を離れたくないけど、専門性を高めたい」「研究の力をつけて次のステップに進みたい」と考える社会人の方に適した選択肢です。

また、学費支援制度も充実しており、成績や研究活動に応じた授業料減免や研究費補助が用意されています(※公式情報は年度ごとに更新されるため、最新の募集要項の確認が必要です)。

また、星城大学のような大学院併設校なら、慣れ親しんだ環境で深めた研究を継続でき、先生との連携も取りやすいというメリットがあります。

7. まとめ|理学療法士が大学院進学を考えるときに大切なこと

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理学療法士の進学という選択肢は、決して「特別な人だけが選ぶ道」ではありません。
しかし、誰にとっても必要なものでもありません。

大学院では、学部では学びきれない専門性や研究スキルを身につけることができます。
これは、臨床の質を高めるだけでなく、教育職・研究職・企業・行政など、キャリアの選択肢が広がります。

一方で、学費や時間の負担、研究の向き不向きといった現実的な課題もあります。
進学が正解かどうかは、人によって異なります。だからこそ大切なのは、
「自分はどんな理学療法士になりたいのか」
「どんな働き方をしたいのか」

という将来のビジョンを持つことです。

本記事で紹介したように、星城大学大学院をはじめ、社会人でも学びやすい制度や奨学金支援のある大学も存在します。
まずは情報を集め、進学後の生活や学び方を具体的にイメージしながら、自分にとって納得のいく選択をしていきましょう。

大学院進学は、あなたの未来を広げるための"選択肢のひとつ"。
焦る必要はありませんが、知っておくことでキャリアの選択肢を広げるきっかけになります。

※参考:星城大学 リハビリテーション学部

リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 学科長 坂井 一也

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